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老犬が痩せてきた。まず受診か、様子見か

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背中や腰の骨が目立つ、抱いたときに軽くなったと感じるなど、体重減少に気づいたときは、年齢だけで説明しないでください。食べる量、飲水量、便や尿、元気の変化を記録し、受診の判断材料にします。

意図しない体重減少は、家庭だけで原因を決められません。フードの変更は、病気や痛みがないことを獣医師と確認した後に検討します。

体重減少が続くときは、フード変更より受診を先にする

一番こわいのは、歳のせいだと思い込んで様子見を続け、その裏で病気が進んでいくことです。家では、痩せの原因が病気かどうかを判断できません。だから、フードより先に病院という順番になります。

「食欲がある/ない」でまず分ける

最初に見てほしいのは食欲です。歳をとって食が細くなり、その分だけ痩せるのは、まだ説明がつきます。問題は、いつも通り食べている、あるいは食事量を増やしているのに体重が落ち続けるケースです。

食べた分が体に残らない状態は、体の中で何かが起きているサインになりえます。寄生虫や膵外分泌不全、糖尿病などが例として挙げられています(※1)。どれも「疑われる」段階の話で、特定するのは検査をした獣医師です。

フードの話を先にしない理由

フードから先に手をつけると、痩せの原因が病気だったときに発見が遅れます。「シニア用に替えたら少し戻った気がする」で安心してしまい、受診が後ろにずれていく。これが目くらましになります。

フードの見直しそのものには意味があります。ただ、順番の問題です。病気を否定してからのフード調整は前向きな一手になりますが、否定する前だと本当の原因を覆い隠しかねません。だからこの記事では、フードの話は受診のあとの章まで置いておきます。

家でできる最初の一手 — 体重を正しく測って記録する

受診を決めるにしても、家でやれることがあります。体重を数字で測って、記録に残すことです。「なんとなく痩せた気がする」より、「先月から○○グラム減った」のほうが、獣医師にも正確に伝わります。

抱っこして自分の体重を引く

測り方は犬の大きさで変わります。体重計に直接乗ってくれる小型犬なら、目盛りの細かい体重計や電子体重計に乗せるだけで済みます。乗ってくれない犬や中・大型犬は、飼い主が抱いて体重計に乗り、あとで自分だけの体重を量って差し引きます(※2、※3)。抱っこが難しければ、キャリーに入れて量り、キャリー分を引く手もあります。

測る間隔は、情報源によって差があります。「定期的(1〜2週間隔)」を推奨するものもあれば(※2)、「成犬は月1回で構わない」とするものもあります(※3)。老犬に限った統一の目安は確認できませんでした。痩せが気になる時期は、やや短めの間隔にして記録を並べておくと、変化を追いやすくなります。

触ってわかる痩せ判定 — 肋骨と腰骨の触り方

体重計がなくても、体を触れば痩せ具合の見当がつきます。その指標がBCS(ボディコンディションスコア=脂肪の付き具合を見た目と触った感触で判定するものさし)です。図表の出典は環境省のペットフード・ガイドラインとされていますが、原本の文言は当サイトでは未確認で、以下は出典を明記した二次情報経由の記述です(※4)。

やり方は、胸のあたり(肋骨)に両手を軽くあて、力を入れずに撫でるように触るだけです。理想的な状態(BCS3)では、薄い皮下脂肪の下に肋骨や腰骨を触って感じ取れ、腰のくびれがゆるやかに見えます。これが「なでるとすぐ骨がわかる」「見るだけで肋骨や腰骨が浮き出ている」となると、痩せ側に傾いています(※1、※4)。

段階肋骨・腰骨の触れ方くびれ
BCS1 痩せすぎ見るだけで骨がはっきり浮き出る砂時計状に極端にくびれる
BCS2 痩せ気味少し浮き出て、なでるとすぐ骨がわかる上・横どちらから見てもはっきり
BCS3 理想薄い脂肪の下に触って感じるゆるやかに見える

(※4。図表出典は環境省ペットフード・ガイドライン)

記録するのは体重・食べた量・水を飲む量・元気の4点

メモするのは4つで足ります。体重、食べた量、水を飲んだ量、元気の有無。この4点が並ぶと、受診したときに「いつから、どう変わったか」を医師へ一目で伝えられます。

とくに水の量は見落としやすいところです。飲む量が急に増えたという情報は、痩せの背景を探るうえで手がかりになります。スマホのメモに日付と数字を書き足すだけでいいので、続けられる形にしておいてください。

老犬が痩せる原因を「病気」と「加齢」に分けて整理する

痩せの原因は、大きく分けると病気によるものと、加齢による自然な変化の2つです。見分けの入口は症状の有無になります。両者は重なることもあるので、以下はあくまで切り分けの目安として読んでください。

病気が疑われるサイン

次のような痩せ方は、加齢では説明しにくいものです。受診で調べる対象になります。

これらの背景として、複数の情報源が病気の例を挙げています。歯周病や口内炎、腫瘍、糖尿病、腎臓病、消化器疾患、寄生虫感染など(※5、※6)。内分泌の病気として、甲状腺機能亢進症や副腎皮質機能低下症(アジソン病)を挙げる動物病院もあります(※7)。

念のため書いておきます。ここに並べたのは「可能性がある病気」であって、症状から病名を決めることはできません。どれに当たるか、あるいはどれでもないかは、検査をした獣医師にしか判断できません。

加齢による自然な変化

歳による痩せは、筋肉と消化機能の衰えが主な理由です。老犬は寝ている時間が増えて運動量が落ち、その分の筋肉量が減っていきます。消化機能の低下や、噛む力・飲み込む力の衰え、食事環境への不安なども、食べる量や体重に響いてきます(※6)。

ある程度の緩やかな減少は、老化の一部として避けにくい面があります。ただ、加齢のせいだと言い切れるのは、元気で食欲もあり、下の表でいう「病気が疑われる側」の症状がないときに限られます。少しでも当てはまるなら、歳のせいと決める前に受診を選んでください。

見る軸病気が疑われる痩せ方加齢による痩せ方
食欲あるのに痩せる/増やしても痩せるゆるやかに落ちる
飲水量・排尿増える(多飲多尿)ことがある大きな変化は出にくい
随伴症状嘔吐・下痢・脱毛などを伴う目立った症状はない
進行の速さ急に、または止まらず進むゆっくり

(※1、※5。切り分けの目安であり、診断ではありません)

食べない状態が続いていて体重も減っているなら、痩せよりまず「食べない」を先に見たほうが早いです。 → 犬がドッグフードを食べないときの、試す順番はこちら

受診の目安 — このサインがあれば日数を待たず病院へ

急に痩せた、骨ばるほど痩せた、他の症状も出ている。どれかがあれば、日数を数えずに受診してください。様子見でいいのは、元気があって、暑さや運動量の増加など痩せる理由がはっきりしているときに限られます(※5)。

判断の中心は「速さ」と「症状の有無」

早めの受診がすすめられるのは、急激に体重が落ちた、触ると骨ばるほど痩せている、増やしても痩せ続ける、嘔吐・下痢・多飲多尿を伴う、といったときです(※1、※5)。

何パーセント減ったか、という数字は情報源で割れています。「普段の体重が10%減ったら問題が起きている可能性」とするもの(※1)、「1か月で3〜5%以上の減少」を急激とするもの(※8)があり、期間も基準もそろいません。犬に共通する公的な数値基準は確認できませんでした。数字にこだわるより、記録した体重の下がり方と症状の有無で判断してください。

小型犬は、少しの減少でも割合としては大きくなります。3キロの犬なら、300グラム減るだけで1割にあたります(※1)。体格が小さいほど、わずかな変化でも早めに相談したほうが安心です。

受診で「病気なし」だったあとに、フード面でできること

病気が否定されて、はじめてフードの出番です。見直すのは、消化・食べやすさ・与え方の3方向。逆に言えば、ここまでの受診を飛ばしてフードから入るのはすすめません。

消化しやすさ・食べやすさ・小分け給餌で見直す

消化機能が落ちた老犬には、消化への負担が軽い設計のフードが合うことがあります。噛む力・飲み込む力が弱っているなら、粒の大きさやふやかしなど、食べやすさの工夫が効いてきます。一度にたくさん食べられない犬は、同じ量を数回に分けて出すと食べきりやすくなります。

どれも「必ず体重が戻る」といった話ではなく、食べる負担を減らすための調整です。量やカロリーの目安は犬ごとに違うので、迷ったらかかりつけの獣医師に相談してください。

療法食が必要な犬は自己判断で替えない

腎臓病や糖尿病などで療法食を指示されている犬は、勝手にフードを替えてはいけません。療法食は病状に合わせて栄養が設計されています。市販のシニア用に自己判断で切り替えると、その設計が崩れます。

「食べやすそうだから」で替える前に、必ず獣医師に確認してください。持病がある犬のフードは、飼い主だけで決める領域ではありません。

シニア向けフードを検討するなら

受診で病気が否定され、療法食の指示もない。この前提が揃ってはじめて、市販のシニア用フードを比べる意味が出てきます。持病がなく、食べやすさを重視したい老犬なら、選択肢に入れて構いません。

どのような点を見て選べばよいか、候補にできるケースと慎重に選びたいケースを二次情報から整理しています。 → ミシュワン シニア用の原材料・価格・選び方を確認する

よくある質問

歳のせいだと思うのですが、それでも病院に行くべきですか。 元気があって食欲もあり、多飲多尿や嘔吐・下痢などの症状がなく、痩せ方がゆるやかなら、加齢の可能性はあります。ただ、それを確かめられるのは検査をした獣医師だけです。1つでも気になる症状があるなら、歳のせいと決める前に受診してください。

体重が何グラム/何パーセント減ったら受診の目安ですか。 犬に共通する公的な数値基準は確認できませんでした。「10%減」「1か月で3〜5%以上」といった目安を挙げる記事はありますが、基準も期間もそろっていません(※1、※8)。数字より、記録した体重の下がり方の速さと、他の症状の有無で判断するほうが現実的です。

食欲はあるのに痩せます。様子を見ていいですか。 食べているのに痩せる、増やしても痩せ続ける場合は、様子見よりも受診が向いています。背景として寄生虫や糖尿病などが挙げられていますが、いずれも疑いの段階で、特定は獣医師の検査によります(※1)。

フードを高いシニア用に替えれば体重は戻りますか。 フードは病気を治すものではなく、体重が戻ると約束できるものでもありません。まず受診で病気を否定するのが先です。フードの見直しは、そのあとに食べやすさや消化のしやすさを整える手段として考えてください。

※本記事は二次情報を中心に整理したものです。病名はいずれも「疑われる」段階で、診断や治療の可否は獣医師の判断によります。

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参考文献