犬の毛づやが悪い・パサつく。病気と老化・栄養の見分け方
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毛の手触りやつやが変わったときは、食事だけを原因と決めず、皮膚の赤み、かゆみ、脱毛、元気や飲水量の変化も確認します。被毛の変化には日常の手入れや加齢が関係する場合もありますが、家庭では判断しにくい病気が背景にあることもあります。
まず「病気のサイン」があるかを確認する
病気を疑う変化があれば、毛づやを整えるケアより先に動物病院へ相談します。緊急性を示す変化がなければ、加齢、お手入れ、食事の順に見直します。
先にチェック。この4つがあれば受診を検討する
次のいずれかがあるなら、毛づやより先に体の中を疑ったほうがいい状態です。
- 左右対称に毛が薄くなっている・抜けている
- 水をたくさん飲み、おしっこの量が増えた(多飲多尿)
- 食べる量は変わらない、あるいは減っているのに太る/急にやせた
- 皮膚に赤みや痒みがあり、しきりに掻く・舐める
ひとつでも当てはまるなら、家庭のケアで様子を見る前に受診を検討してください。症状の組み合わせは、後の章でもう少し細かく扱います。
どれも無ければ、加齢・お手入れ・栄養の見直しでいい
上のサインが無く、元気も食欲も普段どおり。それなら緊急性は高くありません。加齢による毛質の変化、ブラッシングやシャンプーの不足、栄養の偏り——日常側の原因を順に見ていく段階です。
慌ててサプリや高級フードに走るより先に、いま抜けているケアを埋めるほうが近道です。
| 状態 | まず取る行動 |
|---|---|
| 上の4サインがある | 動物病院で相談する |
| サインは無い/元気も食欲も普段どおり | 家庭のケアと栄養を見直す |
「フードを変えれば毛づやが良くなる」とは言い切れない理由
毛づやは全身の状態を映す鏡です。だからフードだけを犯人にすると、たいてい外れます。
被毛のパサつきには、大きく4つの背景があります。動物用医薬品メーカーのビルバックは、栄養の不足や偏り、スキンケア不足、加齢、そして病気の可能性を挙げています(※1)。
原因は栄養・お手入れ・老化・病気の4つに分かれる
総合栄養食ではなく間食にかたよっていたり、そもそも量が足りなかったりすると、栄養の偏りで被毛がパサつくことがあります。ブラッシングやシャンプーが足りなくても毛並みは落ちます。加齢では白髪が出たり、毛質そのものが変わったりします(※1)。
そして被毛が薄い・フケが増える・毛づやが悪いといった変化は、病気のサインとして表に出ることもあります。フードをいじる前に病気かどうかを切り分けるのは、このためです。
受診を考える病気のサイン
分かれ目は、毛の変化に全身症状が重なっているかどうかです。以下は自己診断のための一覧ではありません。「この組み合わせなら病院で相談する」という目安として読んでください。診断ができるのは獣医師だけです。
左右対称の脱毛+元気消失・寒がり → 甲状腺機能低下症の可能性
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が減って起こる病気です。体幹部や尾の脱毛、皮膚が黒く変わる色素沈着に加えて、元気がなくなって動きが鈍くなる、食べる量が少ないのに太る、暖かい季節でも寒がる・低体温、といった症状が挙げられています(※2)。
毛が抜けるだけでなく「最近だるそう」「太ってきた」が重なるなら、早めの通院がすすめられています(※2)。
多飲多尿・痒みのない左右対称の脱毛・腹部膨満 → クッシング症候群の可能性
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)で知られているのが、飲水量と尿量が増える多飲多尿です。ほかにも、食欲が異常に増えて肥満になる、痒みを伴わない左右対称の脱毛、皮膚の色素沈着や菲薄化、腹部膨満、筋力低下などが報告されています(※3)。
早期発見・早期治療が大切とされる病気です。心当たりがあれば、早めに相談してください(※3)。
耳・脇・股・足先の痒みや赤み → アレルギー性皮膚炎の可能性
アレルギー性皮膚炎の主症状は、皮膚の痒みです。痒みが出やすいのは耳・脇・股・足先・口や目の周りで、進むと赤み・脱毛・小さな発疹が現れ、二次感染で悪化することもあります(※4)。食物が関わるタイプでは、皮膚症状と一緒に外耳炎や下痢などの消化器症状が出る場合もあります(※4)。
痒がる様子があるなら、フードを変える前に受診を考えてください。
病気でなければ試す、家でできる毛づやケア
受診サインが無いと確認できたら、ここからが日常の出番です。特別なことをするより、基本の手入れの精度を上げるほうが効きます。
ブラッシングで皮脂を毛全体に行き渡らせる
定期的なブラッシングは、毛づやに関わるケアとして挙げられています。被毛が生え変わる季節は、とくに大切です(※5)。
毛のもつれをほぐし、根元の汚れを浮かせる働きもあります。シャンプー前にかけておくと、根元まで洗えて乾かしやすくなります(※6)。
シャンプーは月1〜2回が目安。洗いすぎ・乾かし残しはむしろ逆効果
頻度の目安は、情報源によって少し幅があります。アニコム損保は1ヶ月に1回ぐらいを一般的としつつ皮膚の状態で異なると述べ(※5)、第一生命グループのアイペットは月1〜2回を目安としています(※6)。どちらも「皮膚のコンディションによる」という前提つきです。
やりすぎに注意、というのには理由があります。シャンプーの回数が多すぎると、皮膚を守る皮脂まで洗い流してしまい、かえって乾燥や痒みを招くとされています(※6)。洗ったあとの乾かし残しも見落としがちで、生乾きは皮膚トラブルの原因になります。 毛をかき分けて根元から乾かすことがすすめられています(※6)。
栄養が足りているかを見直す。ただしフードは治療の代わりではない
手入れを整えても気になるなら、次は食事内容です。ここで大事なのは、フードを薬のように考えないこと。
皮膚と被毛の健康維持には、タンパク質が必要とされています。多価不飽和脂肪酸も皮膚や被毛の発達をサポートし、適量のオメガ3・オメガ6は痒みや刺激を抑えるのに役立つと説明されています(※7)。ビタミンA・B・Dや亜鉛・銅も、皮膚の保護や被毛の維持に役立つとされます(※7)。
これらはあくまで「維持」「サポート」の話で、病気を治すものではありません。総合栄養食で必要な栄養がとれているか、間食にかたよっていないか。そこを確認するのが現実的な一歩です。
食が細くて栄養が入っていないなら、そもそも食べる量の問題かもしれません。あわせて犬がごはんを食べないときの見直し方も参考にしてください。
栄養を見直すとき、フードで見る点
見るのは3つです。「総合栄養食かどうか」「タンパク質と脂質の質」「皮膚・被毛に役立つとされる栄養が入っているか」。
前章のとおり、皮膚と被毛の維持にはタンパク質、そしてオメガ3・オメガ6などの脂質が関わるとされています(※7)。原材料表示で主原料が何か、余計な間食にかたよっていないかを確かめるだけでも、見え方は変わります。
この観点を具体的にどんなフードが満たすのか、原材料の見方とあわせて整理した記事があります。
モグワンドッグフードの原材料と栄養バランスを見る(レビュー記事へ)
フードはあくまで健康維持のための食事です。前章の受診サインがある場合は、フードより先に獣医師へ相談してください。
よくある質問
サプリを飲めば毛づやは良くなりますか
サプリは食事の補助であって、治療ではありません。皮膚・被毛の維持に役立つとされる栄養素はありますが(※7)、パサつきの裏に病気があれば、サプリでは解決しません。まず受診サインの有無を確認してください。
老犬だから毛づやが悪いのは仕方ないですか
加齢で毛質が変わったり白髪が出たりするのは、自然なことです(※1)。ただ「歳だから」で片づけると、甲状腺機能低下症などの見落としにつながります。左右対称の脱毛や元気消失が重なるなら、年齢に関わらず相談してください。
何日くらい様子を見ていいですか
受診サイン(左右対称の脱毛・多飲多尿・体重変化・痒み)が無く、元気と食欲が普段どおりなら、日常ケアを整えながら様子を見て構いません。サインがひとつでもあるなら、日数で待たず早めの受診がすすめられています(※2)。迷ったときは、かかりつけの獣医師に相談するのが確実です。
※本記事は一般的な情報の整理であり、診断や治療を保証するものではありません。気になる症状があるときは獣医師にご相談ください。
関連記事
参考文献
- ※1 ビルバック「犬の毛づやが悪い」(参照日 2026-07-16)
- ※2 アニコム損保「犬の甲状腺機能低下症」(参照日 2026-07-16)
- ※3 アニコム損保「犬のクッシング症候群」(参照日 2026-07-16)
- ※4 アニコム損保「犬のアレルギー性皮膚炎」(参照日 2026-07-16)
- ※5 アニコム損保「犬のシャンプー・ブラッシング」(参照日 2026-07-16)
- ※6 アイペット「犬のシャンプー」(参照日 2026-07-16)
- ※7 ロイヤルカナン「犬の食事が皮膚に与える影響」(参照日 2026-07-16)